ヴァランシエンヌのトラム

 ヴァランシエンヌ(Valenciennes)はフランス北部ノール・パ・ド・カレー地方にある都市で、工業都市であり、都市圏人口34万人を抱えます。都市圏には、トヨタのヨーロッパの生産拠点となる工場が立地しており、地元のプロサッカーチームヴァランシエンヌFCのスポンサーにもなっています。ヴァランシエンヌのトラムは2006年に開業しました。1系統18kmの路線で、国鉄を挟むようにU字形の路線をしています。片方の終点は大学構内を横切るというフランスではおなじみのスタイトルなっております。車両はフランスでも標準型のCitadis 302形を採用しており、かなりオーソドックスなトラムです。と言えども、ヴァランシエンヌのトラムは残念ながら一つ特徴があります。それは、乗客数でフランスのワースト1となっている点です(鉄輪式トラムならびにTVR・トランスロールを採用している都市の中で)。2009年には年間約660万人の乗降客しかありませんでした。トラム不振の原因の一つに、ヴァランシエンヌ市の経済沈滞が挙げられます。ノール地方の都市は炭坑や鉄鋼などの産業で栄えたのですが、EUの市場統合などの経済構造の変化により従前の産業は衰退に見舞われています。ヴァランシエンヌにはトヨタの大規模な工場はあるものの、中心市街地の経済はとても元気とは言えません。商業に関しては、ノール地方の中心都市リールに近すぎるため、ユーロスター効果で活性化するリールの商圏と競合してしまう点が上げられます。トラム(LRT)の導入が、中心市街地活性化に必ずしも繋がることはないことを証明してしまいました。と言えども、都市圏人口34万人を持つヴァランシエンヌにとってむしろトラム(LRT)導入に適した規模であるのも事実で、トラムの路線設定自体も運行成績も安定していることから(同様の苦況にある近隣のドゥエ市は、奇を衒った新技術を導入し大失敗しています)、決して失敗と断言することもできません。第二路線の導入計画も進んでいるので、今後のまちづくりの成果にかかっていると言えましょう。

基本データ(2012年3月1日現在)
運営事業者名 Transvilles(ヴェオリア交通ヴァランシエンヌ)
組織の種別 SAS(単純活動会社)
管轄する自治体組織 Sicurv、ヴァランシエンヌ地域都市交通コミューン間組合(ヴァランシエンヌ都市圏の75コンミューンで設置した交通行政を管轄する一部事務組合)
開業年 2006年
系統数
営業距離 18.3km
停留所数 28
軌間 1435mm
電圧 直流750V架空単線方式
所属編成数 21編成(Citadis 302形)。


|ページ作成:2012年3月8日|


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