T11号線は、パリ首都圏(イル・ド・フランス)で初となる急行トラムとして、2017年9月に開業しました。T11号線はSNCF(フランス国鉄)経営の路線で、トランジリアン(SNCFのパリ近郊線)の一路線としての扱いを受けます。パリの外周を取り囲む貨物線、グランド=サンチュール(大環状線)に旅客列車を走らせる計画の一環である、タンジャンティエール=ノール(北方枝線)として、旅客用の複線を新設してトラム=トレインを走らせることになりました。トラム=トレインはT4号線ですでに採用されており、鉄道線を転用したという意味ではT2の最初に開業した区間もトラム=トレインに近いのですが、T11はこれらとは異なる急行トラムとなっています。路線は完全に立体化されており、駅の構内踏切もなく、線路の横断は禁止です(全線高架駅または橋上駅舎の構造です)。また、駅間距離も長めであり、車両がトラム=トレイン型であることを除けば、通常の都市高速鉄道と変わらないスタイルになっています。全線高架または道路と立体交差のため、踏切・併用軌道区間ともにありません。また、T11のみ全ての駅が自動改札を採用しており、他のトラムとは集札方法も変えています。RERやトランジリアンへの乗換駅では、改札内連絡となっており、中間改札などはありません(T11がトランジリアンの一系統という扱いなので、当たり前の措置です)。システム的にはLRTというよりは新交通システムに近い感じですが、最高速度が速いので日本のつくばエクスプレスのような最近開業した都市鉄道のような走行環境です。また、トラムの中で唯一カルネ(T+)が使えませんので注意して下さい。料金ゾーンは中間の一駅だけ4で、他の駅は両端を含めてゾーン3です。
Zone 3 | Épinay-sur-Seine | エピネー・シュル・セーヌ 【乗り換え】RER-C線 トラム T8号線 | ||
Zone 3 | Épinay-Villetaneuse | エピネー・ヴィルタヌーズ【乗り換え】トランジリアンH線 | ||
Zone 3 | Villetaneuse-Université | ヴィルタヌーズ・ユニーバーシテ【乗り換え】トラムT8号線 | ||
Zone 4 | Pierrefitte-Stains | ピエールフィット・スタン 【乗り換え】RER D線 | ||
Zone 3 | Stains-La Cerisaie | スタン・ラ・スリゼー | ||
Zone 3 | Dugny-La Courneuve | デュニー・ラ・クルヌーブ | ||
Zone 3 | Le Bourget | ル・ブルジェ 【乗り換え】RER-B線 |
西側の起点、Épinay-sur-Seine駅は掘割の中を走るRER-C線をグランド・サンチュールがまたぐ立体交差点にあります。RER-C線のホームは掘り割りの中にあり、T11のホームは地上にあります。駅舎はRERの掘割を挟んで東西二カ所あり、東口が昔からの駅舎、西口がT11の開業に伴って新設された駅舎です。T8号線トラミ-(Tram'Y)のÉpinay-Orgemont方面の枝線にも同名の駅がありますが、西口から北に200m離れた場所に停留所はあります。T11号線の線路は、グランド・サンチュールの北側に新設された複線の線路で、つまりT11の走る区間ではグランド・サンチュールは線区別複々線になっています(線路は基本的に孤立しています)。住宅地の中を走り、北駅からの路線と交差するÉpinay-Villetaneuse駅に到着します。ここは、北駅からの路線が高架、T11とグランド・サンチュールが地上となっております。ほどなく、パリ第13大学の最寄り駅Villetaneuse-Université駅に到着します。T8トラミーの枝線の終点駅で、乗り換えが可能です。T8とT11の開業により、パリ第13大学へのアクセスが改善しました。ここからは駅間距離が長くなります。トランスロールのT5号線をまたぎますが、接続駅はありません(なのでT11とT5は乗換駅がありません)。RER-D線との接続駅、Pierrefitte-Stainsに到着します。RERが地上、T11が高架という構造です。RERは北駅からのリール方面へ向かう幹線ルートで、TGVやタリス、ユーロスターも通ります。貨物列車も多いので、グランド・サンチュールからの連絡線があります。工場街を見ながら高速で走るとStains-La Cerisaie駅に到着。ジョルジュ=ヴァルボン州立公園の中を通り抜け、Dugny-La Courneuveに到着。T11号線の車庫はここにあります。公園を抜けて住宅街の中を高架で走れば、終点Le Bourgetはもうすぐです。RER-Bをまたぐ高架橋の上にホームがあり、RER-B線とは改札内連絡になっています。
警 告T11号線の沿線は、治安の悪い地区が含まれています。特に、RER-B線と接続するル・ブルジュ市はパリ近郊でも特に治安の悪い地区の一つです。T11号線の試乗・撮影にあたっては、各自警戒を怠らないでください。スリ・強盗に警戒することはもちろん、早朝・夜間の訪問は絶対に避けて下さい。在フランス日本大使館の安全情報でも、この地区の電車(RER B線)では、車内から引きずり出されて暴行を受けた事件の報告もあるくらいです。訪問は日の高い、普通の人が多く利用する時間帯で、できれば二人以上で行くことをお勧めします。在フランス日本大使館の安全情報などを確認のうえ、訪問するかいなか検討して下さい。 |
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|作成:2018年7月9日|
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