フライブルクのトラムは、VAG(フライブルク交通公社)によって運営されています。VAGは株式会社形態をとっていますが、フライブルク市が100%株を持っており、実質上市の子会社であります。VAGはトラムとバス路線網を持っており、両者は共通で利用できるほか、周辺の民間バス会社やDB(ドイツ鉄道)のローカル線と提携を組んで、共通の乗車券で利用できるようになっています。フライブルクのトラムは、メーターゲージ(軌間1mの軌道)となっており、標準軌間のDBへの乗り入れが不可能ですし、軌間が狭い分低床車を導入しにくいという不利な条件を抱えています。
2016年12月現在で、5系統の路線が運行しています。都心のTechn. Rathaus-Bertoldsbrunnen間は1、3,4、5もの4つの系統が運行されており、多数のトラムが走っています。都心の区間は非常に狭い街路で、トランジットモールとなっています。歩行スペースも少ないですが、トラムも人々も平気で歩いています。1系統東部区間や2系統の都心外縁部ではセンターリザベーション軌道採用区間が多く、2系統末端部や西部地区の新線では道路脇の専用軌道を走る区間が多くなっています。ドイツ鉄道と接するHauptbahnhof(中央駅)はDBの駅の跨線橋と一体となった陸橋で線路を跨いでおり、DBの列車からすぐに乗り換えができるようになっています(ドイツの駅には改札がないので)。
2006年にエコ団地であるVauban(ヴォーバン)地区への路線が延伸されました。この際、またまた系統が改められました。1系統以外の路線は大幅に変更になりました。欠番だった2系統・3系統が復活。5系統は路線経路が変わりました。代わりに4系統・6系統が欠番になりました。LRTの系統数は4本となっています。1系統は東西を結ぶ系統で、復活した2系統は南北の系統となっております。今回の改変で、南部のGunterstalへ伸びていた4系統は、都心以北の経路が代わり2系統に変更。そのため、2系統は中央駅を経由しない系統となっております。また、今回の2系統の登場で、都心部のBertoldsbrunnen停留所で十字クロスするようになりました(従来は三つ叉分岐のみ)。5系統は、北側の経路を4系統と交換した感じとなっております。新設のVauban行きの系統が3系統です。旧6系統を南に行くように改めたものであります。フライブルクのLRTネットワークは漢字の「日」の字のような路線網から髭のように分岐する形であり、出来る限り乗換駅を増やして一カ所に乗降客が集中しないように工夫されています。
2006年のヴォーバン地区延伸以来、しばらく新線建設はストップしていましたが、2014年から再び延伸事業が再開されました。この延伸はストラッセンバーン2020年計画と呼ばれています。
まず、北部のZähringenbr地区で、Reutebachgasse−Gundelfinger Str.間が延伸され、2014年3月15日に開業しました。延伸区間には2系統が常時直通、5系統が平日朝夕ラッシュ時のみ直通となりました。この区間の延伸では、既存の系統がそのまま延伸されただけであったため、系統の新設や再編はありませんでした。
そして、2015年12月11日に東部地区で、Messe地区への枝線が開業しました。この際に、新4系統が設定され、Messe地区の枝線から中央駅を経て東西に都心を横断してBertoldsbrunnenで北に進路を変え、2系統と同じ線路を走る系統となりました。Hornusstr.-Gundelfinger Str.間は4系統が直通することになり、2系統はHornusstr.止まりに変更されました(5系統は朝夕ラッシュ時のみ直通)。次の新線として、都心を南北に横断する路線の建設が進んでいます。都心の十字クロスであるBertoldsbrunnenに電車が集中しすぎていることもあり都心の線路容量が逼迫してきたので、抜本的な改善として南北方向の新線が開業するわけですが、郊外への延伸により乗客数を着実に増やしてきたフライブルクのトラムも、都心新線が必要な状況になったわけで、トラムと環境首都がそこまで発展した証として興味深い事実です。