ボルドーのトラム(LRT)は、2014年現在3路線50km弱のネットワークとなっております。2003年12月にA線のMériadeck~Lauriers/La Morlette間の開業によってスタートしました。2004年7月にB線、C線が開業。2005年9月にA線のMériadeck~St-Augustin間が延伸され、さらに2007年2月にA線東部で延伸され、現在の路線網となりました。A系統が都心を東西に貫く路線で、ガロンヌ川西岸郊外と都心結ぶ役割を担います。B系統は都心から南部に向かう系統で、近郊輸送の他、ボルドー大学への通学輸送も担います。C系統は現在のところ短い路線で、ボルドーの玄関、TGVが発着するサン=ジャン駅Gare St-Jeanと、都心を結ぶ役割を担います。
延伸工事は着々進んでおります。2007年5月29日に、B系統がPessac中心まで延長されました。続いて6/21にA系統Mérignac(西側)へ延伸が、7月23日にB系統北部区間が、11月にC系統北部区間が延伸されました。さらに2008年も延伸が続き、まず2月末にC系統のGrand Parcから二駅延伸され、3月8日にはCの南部も延伸されました。2008年10月20日は、B系統が北のClaveauへ延伸されました。
なお、2009年に経営委託先がVEOLIAグループからKEOLISグループに変わりました。それにあわせてトラムの系統色が変更されました。A系統が紫色、B系統が赤、C系統が桃色となっています。2008年まではA系統が青、B系統が赤、C系統が緑でした。
ボルドーのトラム事業も第三フェーズに入り、2014年にその第一陣としてB系統とC系統がそれぞれ北に一駅延長されました。現在、カンコンスから北西方向に向かうD系統の新設と、C系統から分岐する形でのトラム=トレインのプロジェクトが進んでいます。2012年は、ボルドーのトラムは乗客数7,367万人を達成し、開業以来9年目にして地方都市圏のトラム乗客数の第一位を達成しました。名実ともにフランスのトラムの盟主的な存在となり、ボルドーもLRTで大成功した都市の仲間入りしたと言えるでしょう。
2016年12月17日には、懸案だった北西方向の路線のうち、国鉄線との単線並列の枝線が開業し、C系統の電車が乗り入れます。
:折返しのある停留所
:集電方式切り替え停留所
:集電方式切り替えかつ折返し停留所
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:折返しのある停留所
:集電方式切り替え停留所
:集電方式切り替えかつ折返し停留所
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:集電方式切り替えかつ折返し停留所
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ボルドーのトラムは、順調に乗客を増やした結果、混雑が深刻になってきました。そこで、2015年春からダイヤを工夫し、都心をまたぐ混雑区間のみの区間便を増発する形に系統を改めました。各系統とも末端部で分岐があるので、運転系統や車両運用が複雑になりました。【現在、解説文は調整中です。近日アップします】
A系統は、主にボルドー市内を東西に結ぶ系統で、全長15.7km、東側地区で二手に分かれており、A系統は実際2系統から構成されています。ガロンヌ川を渡るLRTはA系統のみです。ボルドー第2大学や市民病院のある西隣のPellegrin地区を通り、ボルドー都心を東西に横切ってガロンヌ川を渡り、ガロンヌ川東岸地区の団地まで行く路線です。A線は他の路線とは異なり、架線のない路面給電方式(APS)と通常の架線集電の切り替え地点が多い特徴があります。コストのかかるAPSを必要な地区だけ整備したという理由と、東側の地区で開業前にAPSの実験を行っていたことが理由に挙げられます。
西側の起点はMérignac市の中心街です。2007年6月にSt-AugustinとMerignac間が開業しました。2005年秋の延伸開業時からはSt-Augustinが始発駅でした。St-Augustinから架線集電方式で東へ向かい、一つめのHôpital PellegrinからAPSに切り替わります。この区間は道幅の狭い区間を走っていきます。Gavinièsで架線集電に切り替わり、大通り中央の芝生軌道を走ってゆきます。2003年開業時の終着駅、Mériadeckを過ぎ、裁判所の前のPlais de Justiceからは都心に入るのでAPSに切り替わります。ボルドーのシンボル、サンタンドレ大聖堂前のHôtel de Ville(市役所前)でB線と平面交差します。ここにはAとBの連絡線はありません。ガロンヌ川沿いのPorte de BourgogneでC線と連絡します。ここにCとの渡り線が設けられています。ガロンヌ川を渡ったStallingradからは架線集電となります。SNCFの線路をくぐり、Carnot Mairie de Cenonを過ぎると、市東部の丘陵地へ登るために急勾配で丘を登ってゆきます。この区間、ボルドー市内やガロンヌ川を見渡せる車窓のポイントです。Buttiniereで路線は二手に分かれます。
北へ向かうLauriers方面の路線は、団地の中を走ります。分岐して二つめのGraviereでAPSに切り替わり、一駅だけAPSで走ってBois Fleuriで架線に切り替え、一駅で終点のLauriersに到着します。さらにここから北への延伸工事が進められています。Lauriers系統の電車は、途中6回も集電方式を切り替えることになります。
西へ向かうのがLa Morlette・Floirac Dravemont方面の路線で、PelletanでAPSに切り替えてLa Morletteに到着します。La Morlette以遠は架線集電方式になります(その先は、現地調査していないため不明)。
ボルドーを南北に結ぶ路線です。南部に広大なボルドー大学のキャンパスがあり、都心と大学を結ぶ役割の他、広大なキャンパス内の移動手段にも使われています。B線はPeixottoを境に北側がAPS、南側が架線集電方式となっており、集電方式切り替え地点が多いA線とは対照的に、切り替え点が少なく対照的になっています。
2007年7月にボルドー都市圏市北部へ延伸されました。現在の始発はClaveau駅ですが、この駅までやってくる電車は約半数で、半数の電車はBassins à Flotで折り返します。ガロンヌ川沿いに南下し、ボルドー都心の交通ターミナル・カンコンス(Quinconces)広場へ至ります。ボルドーのカンコンス広場はフランス最大の広場です。トラム乗り場は森の木々に覆われたところにあり、B線とC線のホームが駅舎を挟んで配置されています。電車は劇場の前を抜け、幅の広い大通りのトランジットモールを進み、ガンベッタ広場の手前で突如左折し、サンタンドレ大聖堂へ続く幅の狭い道を走って行きます。LRTがこんな狭い道を走るのは奇妙な光景ですが、実は1958年に廃止された先代の路面電車も、この道を走っていました。先代の路面電車も、景観保護のためにGambetta付近では地中溝方式の第3軌条で電化されており、50年近い年月を経て、先進的な電車が再びこの道を走ることになったのです。
サンタンドレ大聖堂前のHotel de VilleでA線と十字交差し、南下していきます。Victoireは街の入り口となる石造りのアーチ門が特徴的な広場。架線のないLRTは広場の新しい景観を作っています。ここからは狭い道の下町をサイドリザベーション軌道で走っていきます。住宅地をしばらく走ると、APS/架線集電切り替え駅のPeixottoに到着。ここから終点まではボルドー大学のキャンパス内を走ってゆきます。つまり、B線では町中がAPS、大学内が架線集電と使い分けていることになります。
大学のキャンパス内と行っても、入り口のPeixottoから終点のBougnardまで間に7つも停留所があり、かなり広大なキャンパスであることがわかります。トラムは都心と大学を結ぶ役割だけではなく、大学内輸送機関の役割も担っています。終点のBougnard付近には学生寮などがあるため、各学部の最寄り駅から終点への学生の乗車が多いのもこの区間の特徴です。各学部を停車して学生を拾って行き、UNITECを過ぎれば車窓にブドウ畑が見えます。このブドウ畑はボルドー大学の演習用の畑のようです(ボルドー大学にはワイン醸造学科があります)。周りにマンションなどが見えてきたら当初の終点Bougnard着。2007年5月29日に、Pessac中心市街までの区間が開業しました。
Cはボルドーの玄関でTGVも発着するサンジャン駅と都心を結ぶ路線です。2008年に北側の始発駅はLes Aubiersとなりました。カンコンス広場を経て、電車は広場の森を抜け、ガロンヌ川沿いに南下してゆきます。Porte de BourgogneでA線と連絡し、Saint-Michelで架線集電に切り替わってサンジャン駅到着です。サンジャン駅前は、オーソドックスな架線集電であり、ボルドーサンジャン駅下車してすぐでは、特徴のあるAPSは見れないことになります。2008年3月にサンジャン駅以南の区間も開業し、Bèglesの街まで路線が延びました。
架線レスのAPSはコストが高いことから、全区間では採用されず、景観保護が必要な都心部や消防車が入る狭い道などに限られています。上記の停留所リストに切り替えポイントと採用区間を記してあります。
第3フェーズ以降の延伸区間では、一部区間で単線となっています。A線の西側とB線の北側では、末端部の一駅だけ単線です。Le Haillan Rostand駅、Berges de la Garonne駅ともに一面一線構造で、この区間には一本しか電車が入線できません。2015年6月開業のB線南方のFrance Alouette方面の枝線は、全線単線となり、各駅に交換設備があります(終点のFrance Alouette駅も2線構造)。2016年12月開業のC線のBlanquefort方面の枝線は、もともとトラム=トレインとして計画されていたものが変更されたもので、当初は既存の鉄道線(単線・DC1500V電化)を複線化して複電圧のトラム=トレイン車両を走らせる予定だったのが、計画変更され、この区間は既存の鉄道線に腹付けする形で単線のトラムの線路を増設し、一見すると複線に見えるが単線並列という格好になりました(軌間はどちらも1435mmですが、SNCFがDC1500V、トラムがDC750Vです)。また、トラムと鉄道線(TER)は別の路線扱いであり、料金体系も異なります。日本で言えば成田空港付近の高架橋が京成スカイアクセス線とJR東日本で単線並列で使用しているのと同じ格好です。
ボルドーのLRTはCitadis300系と呼ばれる100%低床車が使われています。7連接43mの電車と、5連接33mの二種類の電車があります。7連接車はAB系統、5連接車はC系統で使用されます。 車庫はA系統のThiers Benaugeにあり、ボルドーのLRT全線を受け持っています。カンコンスQuinconcesにB線とC線の渡り線があり、Porte de BourgogneにAとCを結ぶ渡り線があります。Hotel de VilleにはAとBを結ぶ渡り線がないため、Bの電車送り込みは、Porte de BourgogneからC線経由でカンコンスに入ります。車両送り込みは回送運転の他、カンコンス~Thiers Benauge間系統として運行される列車もあります。
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|作成:2004年1月9日、最終更新2016年12月10日|
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